DVDプレーヤのユースケース~要求工学から考えて見る~
DVDプレーヤのユースケースを考えるのに、情報処理学会誌のvol49, No4, 2008の「要求工学」特集を少し読んだので簡単に、まとめてみる。
参考にしたのは、「要求獲得技術 (中谷)」の一部
そもそも要求工学とは
システム構築におけるユーザーの要求を、科学的に定義するための方法や考え方の総称。“ユーザーは何が目的なのか”、“どういった機能が必要なのか”といった要求をまとめ、それをシステムに正しく反映させる手法全般を対象にする。
(ITレポート 要求工学とは :ITpro より引用)
要求獲得の3つのプロセス
- 1.対象世界の情報を得る
- エスノメソドロジ
- 観察・インタビューetcで多数の情報収集
- 集めた情報を重ね合わせて、共通の世界を探る=情報の飽和という
- ソフトシステムズ方法論(SSM)
- CATWOE分析
- Customer, Actor, Transformation, process, World view, Owner, Enviroment
- (受益者, 遂行者, 変換すべき問題状況と変換後の望ましい状況, 世界観, 決定権者, 望ましい状況が実現された実現された環境 を示す)
- 結果は「Oは、あるWに基づいてAに指示を出し、Cのために、望ましいEを考慮に入れて、Tを実行すべきだと考える」と読み解く
- 上記はリッチピクチャーを使うと、それぞれの立場の違いからの意見が明確にできる
- リッチピクチャは、「柔らかな」システム思考のすすめ ソフトシステム方法論「SSM」とはなんだ(1)を参照
- CATWOE分析
- エスノメソドロジ
- 2.要求を獲得する
- ユースケース分析
- 基本系列:システムの正常な使い方とそれに対する振る舞い
- 代替系列:可能性のある例外事象と発生した時の振る舞い
- ユースケース分析
- 3.要求を取捨選択し、新たな要求を獲得する
上の3つのプロセスを「DVDプレーヤ」についても考えてみる
- CATWOE分析
- 視点1:開発会社
- C: 経営者, A: 開発者, T: 今より、販売台数を増やす, W: DVDプレーヤの開発費を安価に, E: 安価に開発できる手法を習得
- 視点2:購入者
- C: 購入者, A: 開発会社, T: 今より高性能なDVDプレーヤを手に入れる, W: DVDプレーヤの開発技術力を上げる, E: DVDプレーヤは今の倍速で書き込める
- 視点1:開発会社
- ユースケース分析
- 基本系列:DVDプレーヤの電源をオンにする→TVと接続する→DVDを用意し、プレーヤの中に挿入する→プレーヤの再生ボタンを押す
- 代替系列:プレーヤで再生中に、DVDを出す→[対策]→DVDを取り出すボタンを押したら、再生を停止し、TVとの通信をやめて、DVDが取り出せる状態にする
- ミスユースケース
- DVDプレーヤにCDを入れる→緩和:読み込めないディスクが入ったときに、警告を出して、ディスクを出す